みなさんは、奨学金を借りたことがありますか?
大学や大学院、短大などで勉強をするために奨学金を借りたものの、
就職先でもらえる給料が少なく返済が滞ってしまった……
という人は意外に多いものです。
奨学金なら、ちょっとくらい滞納してしまっても問題ないだろうと考えてしまいがちですが、甘く見ていると大変なことになってしまうかもしれません。
そこでこちらでは、奨学金が返済できないという人に対処法をご紹介していきます。
奨学金が返済できない人が多い現状
奨学金とは、大学や大学院、専門学校に行く時の支援金です。
今やおよそ2人に1人の学生が、奨学金を利用して学校に行っていると言われており、奨学金を借りることは一般的になってきました。
子どもの高等教育の資金が用意できないというのは、決して珍しいことではありません。
今は、親世代の賃金が上がらない時代ともいわれていますから。
しかし、みんなが利用しているからと、気軽に奨学金を借りてしまって、結局返済が滞ってしまっている、という人も少なくないようです。
奨学金を返済できない理由としては、以下のような理由があります。
【奨学金が返済できない理由】
家計の収入が減った
入金・自己・災害の影響
本人や家族が病気・ケガで返済に手が回らない
返済するものと思っていなかった
※平成27年度 奨学金の返還者に関する属性調査結果参照(日本学生支援機構)
奨学金を返済できない人の中には、返済しなければいけないという認識が無いまま、借りてしまう人もいるようです。
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奨学金のデメリット
奨学金を利用すれば、費用が足りなくても大学や大学院などに進学して勉強をすることができます。
大学に行くことよって夢に近づくことができますし、就職先の可能性も広がるでしょう。
奨学金を利用すると、このようなメリットがあります。
しかし、実際には数多くデメリットも存在するのも事実です。
奨学金を借りるデメリットは以下のとおりです。
【奨学金を借りるデメリット】
・大学卒業と同時に多額の借金を背負うことになる
・ブラックリストに載ってしまう
・保証人に迷惑をかける可能性がある
・最悪の場合には裁判にかけられ、強制執行もありうる
現在では2人に1人が利用していると言われる奨学金。
気軽に利用してしまいたくなりますが、社会人になったとたんに多額の借金を背負うということを忘れないようにしましょう。
そこまでして大学に行きたいのか、行く必要があるのかをよく考えてから利用することをおすすめします。
奨学金=借金と同じ
奨学金は、借りているお金という以上は、借金と変わりません。
ですから、きちんと返済しなくてはなりません。
学生が借りるお金だから、大目に見てくれるだろうと思ったら大間違いなのです。
奨学金を期日通りに返済しないと、さまざまなペナルティーやデメリットがあります。
奨学金の返済が遅れると、延滞金が発生します。
このような点は、一般的なカードローンなどの借金と同じですね。
「別に返済しなくても問題ないだろう」
と思ってそのままにしていた人は、今すぐ返済をすることをおすすめします。
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奨学金を返済できない人の数
返済しないといけないと言われても、返済できないものは仕方ないという声が聞こえて来そうです。
でも実は、奨学金の返済ができない人はあなただけではありません。
奨学金を滞納してしまっている人は意外に多いのです。
2013年度の調査によると、奨学金を借りている人のうち、延滞している人は約30万人いるという結果が出ています。
また、2015年度末の、奨学金の延滞金額は約880億円にものぼります。
(いずれの日本学生支援機構によるデータです)
思った以上に、奨学金の滞納率は高く、返済に苦しんでいる人は多いのです。
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奨学金が返済できない場合の対処法
奨学金が返済できないからと言って、そのままにしておいては何も解決しません。
返済できない場合にはどのような対処をしたら良いのか、見ていきましょう。
【奨学金が返済できないときの対処法】
①日本学生支援機構の「減額返還」を利用する
②日本学生支援機構の「返還期間猶予」を利用する
③債務整理をする
①日本学生支援機構の「減額返還」を利用する
病気や災害、そのほかの経済的な理由などで返済が困難になった時に、返済額を一定期間減額してもらえる制度です。
1回の申し出により、12カ月の延長が可能で、最長15年まで延長ができます。
申請にはマイナンバーが必要となります。
ここで注意したいのは、減額してもらった分は、後から返済しなくてはならないという点です。
減らしてもらった分は返済しなくて良くなるわけではありません。
返済期間を延長するという、一時的な対処法だと思っておきましょう。
②日本学生支援機構の「返還期間猶予」を利用する
病気や災害、失業などの経済的困難などによって、奨学金の返済が困難になった場合に利用できる制度です。
申請をすると審査が行われ、承認された場合にはその期間は返済をする必要がありません。
申請にはマイナンバーが必要となります。
ただし、こちらも返済期間が延期されるだけで、最終的には全額返済をする必要があります。
一定期間猶予してもらえるだけですから、間違えないようにしましょう。
③債務整理をする
債務整理とは、法的な手続きなどを利用して、借金を減らす方法です。
奨学金も借金の一種なので、債務整理をすることで金額を減らすことができます。
債務整理もいくつか種類があります。
裁判所を通じて行う自己破産や個人再生、弁護士などの専門家が直接債権者と交渉する任意整理などがあります。
債務整理の種類についての解説は、こちらの記事に詳しく載っていますのでご覧ください。
自分の収入や借金の金額などによって、適している債務整理の方法が違うので、一度プロの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
任意整理では一般的に将来の利息などのカットによって負債を減らしますが、日本学生支援機構が任意整理を承諾して、減額に応じる可能性は少ないとも言われています。
しかももともと金利が低いため、任意整理ではあまり減額を見込めない可能性があるでしょう。
どの債務整理の方法を選択するのが最適なのかという点については、専門家に判断してもらうことが一番です。
こちらの記事では債務整理に強い法律事務所を紹介していますので、気になる人はご覧になって下さい。
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奨学金のよくある質問
奨学金の返済に関するよくある質問をまとめてみました。
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奨学金を滞納するとブラックリストに載ってしまうの?
奨学金を3ヵ月程度延滞してしまうと、信用情報機関に事故情報が記録され、いわゆるブラックと呼ばれる状態になってしまいます。
奨学金の返済が遅れただけなのにまさか……と思うかもしれませんが、これは事実なのです。
しかも延滞が解消してからも、5年程度はこの記録が残ってしまいます。そもそも、延滞の記録が残ってブラックになると何が問題なの? と思っている人もいるかもしれませんね。
信用情報機関に事故情報が残っていると、その間はローンを組んだりクレジットカードを作ったりすることができなくなってしまいます。
その状態が延滞解消から5年も続くとなると、かなり困りますよね。
車のローンを組んだり住宅ローンを組んだりすることができなくなりますから、結婚生活などにも悪影響を与える可能性があるでしょう。 -
奨学金を滞納しても、時効が来れば返済しなくて良くなるの?
借金には時効があります。
営利目的のもの(銀行や消費者金融など)の場合には5年、一般的な債権の場合には10年となります。
奨学金の場合には営利目的ではないため、10年で時効となります。最終の返済から10年経つと時効になるわけですが、ただ10年経過すれば時効が成立するわけではありません。
債権者に対し「時効の援用」を行わなくてはいけないのです。
これは、「時効という制度を利用しますよ」と債権者に宣言することを指します。時効が成立するためには、裁判上の請求や差し押さえが行われていないこと、債務者が債務の存在を認めていないことが条件となります。
これらの条件を満たしていない場合には時効の進行が中断してしまっていることもありますから、10年経っているから必ず時効が成立するとは限りません。時効の援用は自分で行うと手続きを間違える可能性もあります。
奨学金の時効が成立しているかもしれないという場合には、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。 -
奨学金を滞納してしまった場合、どこに連絡すればいい?
奨学金をどうしても返済できなくなってしまった場合には、まずは日本学生支援機構の奨学金返還相談センターに連絡をし、相談をしてみましょう。
そして、日本学生支援機構に奨学金の減額返還や返還期限猶予を申し出ましょう。
もし審査で承認された場合には、一定期間返済額の減額や猶予を受けることができます。
病気や経済的な困難など返済できない事情がある場合には、早めに申し出るようにしましょう。また、奨学金を債務整理(自己破産、個人再生)することを考えている場合には、保証人に対してその旨を連絡しておきましょう。
債務整理をすることにより保証人に連絡が行くことになりますから、トラブルになる前に自分から相談をしておくことをおすすめします。 -
奨学金滞納によって給与や財産の差し押さえもありうるって本当?
借金をずっと返済しないでいると、最終的には裁判にかけられ、最悪の場合強制執行されてしまう可能性があります。
強制執行されると、財産や給与の一部などが差し押さえられてしまいます。裁判にかけられるなんて、ギャンブルなどで借金を作ったような悪質なケースだけじゃないの?
と思うかもしれませんが、結局奨学金も借金には変わりありません。
勉強のために借りたお金だから、返済が遅れても許してもらえるというわけではないのです。ですから、返済をしなければ最終的に裁判にかけられてしまう可能性も十分にあると思っておきましょう。
そのような恐ろしいことになったら困りますよね。
奨学金が返済できそうにない状況になったら、すぐに対処をすることをおすすめします。
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まとめ
奨学金が返済できない場合の対処法についてお話してきました。
奨学金を滞納すると延滞金が発生しますし、普通の借金と同じように信用情報機関に延滞の情報が登録され、ブラックの状態になります。
どうしても奨学金を返済できそうにない場合には、早めに日本学生支援機構に連絡をし、対処を行いましょう。
奨学金以外にも多額の借金があって困っているような場合には、債務整理をするという選択もあります。
ただし、債務整理にはメリットもデメリットもありますから、その点を理解したうえで行うようにしてくださいね。
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